- 保育士歴16年、現役保育士が執筆
- 3児の母
この記事では、年齢別の練習ポイント、安全な使い方、そして具体的な指導例まで、はさみ指導に関するあらゆる疑問にお答えします。
はさみを使う力は、単に紙を切るだけでなく、手先の器用さや集中力、創造性の発達にも大きく関わります。この記事を読めば、子どもの成長をサポートする具体的な方法が見つかるはずです。さあ、一緒にはさみ指導のエキスパートになりましょう!
目次
指導を始める前に知っておくこと
対象年齢
はさみは一般的には2歳前後から使い始めることができます。
子どもに以下のような姿が見られるようになると使い始めの目安と考えてよいでしょう。
- 指先の器用さ:小さいおやつをつまんだり、シールを貼ったりする細かい指先の動作ができる。
- 握力の向上:洗濯ばさみをつけたり外したりすることができる。
- 手首の安定:体幹がしっかりしてきて、手首を立ててはさみを持つことができる。
はさみの選び方
はさみの選び方も重要なポイントとなります。子ども用のはさみには以下のような特徴があります
- 刃先が丸くなっている
- 軽量で握りやすい
- 安全ロック機能がついている
これらの特徴を持つはさみを選ぶことで、子どもの安全を確保しつつ、楽しく学ぶことができます。また、左利きの子どもには専用のはさみを用意することをおすすめします。
おやつママ家が使用しているハサミはこちら
はさみ指導のねらいとポイント
ねらい
- 手指の巧緻性を高める
はさみを使う活動は、手先の器用さを育てる上で非常に効果的です。はさみの開閉動作を繰り返すことで、手や手首の調整力が高まっていきます。
- 集中力と持続力を養う
はさみを使って紙を切る作業には、集中力と持続力が必要です。特に曲線に沿って切ったり、複雑な形を切り抜いたりする際には、長時間の集中が求められます。この過程で、子どもたちは自然と集中力と持続力を養うことができます。
- 安全に道具を扱う意識を育てる
はさみは正しく使用しないと危険な道具です。そのため、はさみを使う活動を通じて、安全に道具を扱う意識を育てることができます。例えば、以下のような安全意識を身につけることが期待されます
・刃先を人に向けない
・受け渡すときは刃の側を持ち、持ち手を相手に差し出す
・ 使用後は適切に片付ける
期待される姿
2歳児
・はさみを正しく持つことができる
・幅2cm程度の直線を切ることができる
3歳児
・紙を回しながら切ることができる
・簡単な図形を切り抜くことができる
4歳児
・厚みのある紙を切ることができる
・曲線に沿って切ることができる
5歳児
・好きな形に自由に切ることができる
・難易度の高い図形を切ることができる
保育士の配慮と支援のポイント
- 安全面の配慮:はさみの安全な使用方法について知らせる
- はさみは座って使うこと
- はさみの刃を友だちに向けないこと
- 使わない時は閉じて置いておく
- 持ち歩くときは刃のほうを持つこと
- 個々の発達段階に応じた支援:子どもの理解力や発達に合わせて個別に対応する
- 1回切り:画用紙の端を1回切る練習
- 連続切り:はさみを動かし続けて切る練習
- 曲線切り:円などの曲線に沿って切る練習
初めてのはさみ指導(ピザを作ろう)
初めてのはさみ指導として、『ピザ作り』を紹介します。ピザの具材に見立てた画用紙の1回切りの活動です。
事前準備
はさみで初めて1回切りの指導をする際の紙の適切な幅は1~2cm程度です。
また、紙を準備する際には以下のポイントが重要です。
今回のピザ作りでの準備物は以下になります。
- はさみ(左利きの子どもがいる場合は左利き用を準備しましょう)
- 赤・黄・緑の色画用紙(今回は2cm×16cmの画用紙を用意)※3枚のうち1枚には等間隔に切り取り線(今回は2cm間隔)を記入しました
- ピザ生地(今回は赤い絵の具を塗ってピザソースに見立てました。子どもたちが自分で塗ってもいいですね)
- 切った画用紙を入れる箱や皿(箱等を用意しておくと切った紙が散らばらなくていいですね)
- のり(切った画用紙をピザ生地に貼ります。でんぷんのりを使用する場合は手を拭くためのタオルやウエットティッシュを用意しておくといいですね)
を参考にしてください。
はさみの持ち方の指導
まずは、正しいはさみの持ち方を教えましょう。
- 小さい穴に親指を入れる
- 大きい穴に人差し指と中指を入れる
- 親指が上になるように持つ
- はさみを開閉する動作を練習する
導入におすすめの絵本
ピザ作りの活動におすすめの絵本を紹介します。ピザを作る手順が描かれており、まさに今回の活動にぴったりの1冊です。
『つくろう!ピザ』 作/秋永悠 出版/世界文化社
指導の手順とポイント
はさみの開閉ができるようになったら、さっそく画用紙を切ってみましょう。
- まずは、切り取り線が記入してある画用紙を切ってみましょう。はさみを持っていないほうの手(利き手と逆の手)で画用紙を持ちます。
注意
紙を持つ手に注意し、はさみが閉じる位置に指が来ないようにしますポイント
切った画用紙は皿や箱にまとめておくと、次の活動にすすみやすいですね。 - 切り取り線のない画用紙も切ってみましょう。焦らず、ゆっくりと進めるよう声掛けをするといいですね。
- 画用紙をすべて切り終えたら、のりを使ってピザ生地に画用紙を貼っていきます。「どの食材を貼ろうかな?」「チーズたっぷりでおいしそう!」などの声掛けをすると盛り上がりそうですね。
- 完成
いかがでしたか?
これであなたもはさみ指導のエキスパートですね。
はさみは子どもにとってとても魅力的な道具です。正しく安全に使って、子ども達の遊びの幅をどんどん広げましょう。
今回は以上になります。